2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 穣 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超低温 / ヘリウム3 / 低次元 / 超流動 / フェルミ液体 |
Research Abstract |
今年度は二次元におけるヘリウム3の新しい凝縮状態を探索するために必要な高感度ねじれ振り子測定器の開発を行った。ねじれ振り子測定は通常、電極が振動することによる変化をキャパシタンスの変化として測定されるが、このキャパシタンス測定をSQUIDによる距離測定に置き換えることでより高感度な測定が可能である。また、この方法により、キャパシタンス特定の場合に必要であった長い積分時間が不要となり、ねじれ振り子の振動をリアルタイムに測定することが可能となる。 このSQUIDによるナノスケールの微小距離測定は超伝導体間のインダクタンスの変化を磁束の変化としてSQUIDで測定することで行われる。この技術はコーネル大学のJ.C.Davisグループが非常に得意としており、今年度後半はこのグループとの共同でSQUIDによるねじれ振り子測定技術の開発を行った。SQUIDによるねじれ振り子測定ではSQUIDの発生する磁場が問題となるため、超伝導シールドによる遮蔽の影響や、ねじれ振り子を金属ではなくサファイアによって作ることでその影響を抑えるテストを行う予定である。 現在その性能テストも兼ね、固体ヘリウムで起こるとされている超流動測定用の冷凍機と測定装置を立ち上げている。この現象は固体ヘリウムの中で微小な超流動成分が観測されているという現象で、比較的高温の200mKで観測されているため二次元超流動に必要な数十μKの超低温は必要ないために、この測定方法の有効性と微小変化の測定性能を確認できると考えている。
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