2005 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海水の形成・維持機構と亜熱帯循環への影響評価に関する基礎研究
Project/Area Number |
05J10599
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
建部 洋晶 東京大学, 気候システム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | オホーツク海 / 潮汐混合 / 黒潮続流 / 海洋大循環モデル |
Research Abstract |
千島列島周辺における強い潮流に伴う水温・塩分の鉛直混合過程が、オホーツク海北西部における冬季結氷過程やこれに伴う水塊沈降過程を通して、オホーツク海水の形成に対し、どのような影響を与えるのかについて、東京大学気候システム研究センターで開発された海洋大循環モデル(OGCM)を用いて調べた。現時点では、OGCMを駆動する際の設定及びパラメータチューニング等が終了している。また、鉛直拡散係数等のモデルパラメータを変えた比較実験を行う際に重要な標準実験が終了しており、過去の研究と比べて妥当な結果が得られている。 また、OGCMではなく、等密度面座標系おいて記述された並列化数値モデルを作成し、これを用いて、密度の鉛直勾配の小さなオホーツク海水が存在する状況下における黒潮/黒潮続流の海流構造の応答について研究を行った。この結果、オホーツク海水が存在する場合、黒潮続流の流軸位置が南下、またその平均的な東西流速が小さ<なることが示唆された。詳しい力学については、現在水平解像度を上げた追加実験を行っており、その結果を用いて議論する予定である。 その他、上記自作モデルを使用して、日本沿岸親潮流域における動物プランクトン(特にカイアシ類)の輸送経路をシミュレートした。この結果、能動的に季節的な鉛直移動を行う動物プランクトンは、その季節変動の位相、鉛直移動深度、の差により、種別によって大きく異なる輸送経路をとることが明らかになった。動物プランクトンの輸送、死亡に関連して生じる海洋における炭素輸送を明らかにすることは、海洋が大気から吸収できる二酸化炭素量の推定を行うために非常に重要である。本研究により、北太平洋亜寒帯域から亜熱帯域への、海洋中層における生物に関わる炭素循環の一端が明らかにされた。
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Research Products
(2 results)