2006 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海水の形成・維持機構と亜熱帯循環への影響評価に関する基礎研究
Project/Area Number |
05J10599
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
建部 洋晶 東京大学, 気候システム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海洋炭素循環 / 海洋数値モデル / 親潮 / ネオカラヌス / 漁獲量変動 |
Research Abstract |
前年度に作成した、等密度面座標系おいて記述された並列化数値モデルに表層混合層モデルを付加した。上記自作モデルを使用して、日本沿岸親潮流域における動物プランクトン(特にカイアシ類)の輸送経路をシミュレートし、北太平洋亜寒帯海域から亜熱帯海域へのプランクトン輸送に伴う炭素輸送量を見積もった。この結果、親潮海域において毎年生産される炭素量の約10%が亜寒帯フロントを通過し、亜熱帯海域、特に日本東方の黒潮・親潮混合水域へ輸送されることが分かった。この量は、過去の観測からの見積もりの2倍以上であり、これまで考えられてきた以上の炭素量がプランクトンの輸送に伴って亜熱帯海域へと流入していることが示唆された。本研究により、北太平洋亜寒帯域から亜熱帯域への、海洋中層における生物に関わる炭素循環の一端が明らかにされた。今後は、海流変動とこれに伴うプランクトン輸送を軸として、物理・生物の両面から日本沿岸海域におけるサンマ・マイワシなどの漁獲量長期変動の原因を解明してゆく予定である。
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