2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面における光触媒反応および光電子移動反応の第一原理計算手法の開発
Project/Area Number |
05J10622
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神坂 英幸 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子ドット / デコヒーレンス / 太陽電池 / 酸化チタン / ドーピング |
Research Abstract |
近年、PbSe量子ドット系において、光照射すると一光子当たり複数の励起子を生成する現象が見いだされた。半導体を用いた通常の太陽電池では、一光子が励起する電子は高々一つであり、励起された電子は速やかに伝導体の最低エネルギー準位までエネルギー散逸する(オージュエ冷却)。複数の励起子生成は、従来では熱として損失していたエネルギーを直接電流へと変換できる可能性を示しており、太陽電池の性能を飛躍的に向上させるものとして期待されている。 しかし複数の励起子が生成する機構については、いまだ不明の点が多い。いままでに三種類の生成機構が議論されており、いずれも本質的に異なった説明を行っている。このうちの二つは、状態間の量子力学的デコヒーレンス時間の決定によって、明確にその是非を議論することが可能である。 そこでPbSe量子ドットについて、第一原理分子動力学計算によるデコヒーレンス時間の見積もりを行った。手法には、統計力学に基づく応答関数を用いる方法と、半古典力学を用いる方法の二種類を用いた。両者はよい一致を示し、直径1.4ナノメートル程度のPbSe量子ドットでは、電子状態間が2〜8フェムト秒でデコヒーレンスを起こすことが明らかとなった。 これと並行して、東京大学理学研究科化学専攻固体化学講座の一杉氏と共同研究を行い、Nbドープした酸化チタンの構造を研究した。これには標準的なバンド計算の手法を用いた。計算はNbドープによる格子定数の変化をよく再現しており、またNbドープによって不純物準位は生成されず、酸化チタンの軌道とよく混合することが解った。更に酸素欠陥や格子間酸素の影響を議論した。計算によって格子間酸素がNb原子近くで安定化することを見いだし、またこの構造がもたらす不純物準位を実験によって確認することが出来た。
|
Research Products
(1 results)