2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面における光触媒反応および光電子移動反応の第一原理計算手法の開発
Project/Area Number |
05J10622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神坂 英幸 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光触媒 / 光誘起親水化 / 量子ドット / 太陽電池 |
Research Abstract |
酸化チタン表面の光誘起親水反応を研究した。これは光照射によって表面の親水性が著しく高まる現象で、光触媒反応との関係が議論されている。特に、この現象に伴って表面水酸基が増加し、圧縮応力が発生するという実験に注目した。計算には密度汎関数法と薄膜モデルを用いた。水の吸着構造には、分子吸着・解離吸着・表面酸素欠陥への吸着の三通りを考慮した。計算の結果、水分子が(100)面へ吸着した場合には、表面の酸素原子との水素結合によって表面張力が発生することを見いだした。それ以外の場合には、表面圧力が発生していた。圧力の原因には、固体表面から水分子への電子移動が推測された。 太陽電池の素材として期待されている半導体量子ドットについて、バンドギャップの温度・圧力依存性を研究した。この現象については、実験家によって格子の膨張、膨張による閉じこめエネルギー変化、クーロン相互作用の変化、電子-フォノン結合の変化などの機構が議論されている。更に近年には電子-正孔の有効質量変化の重要性が指摘されている。そこで有限温度での半導体量子ドット系のバンドギャップを、第一原理シミュレーションを使って調べた。計算対象にはPb_<68>Se_<68>(直径約2.0nm)、Cd_<33>Se_<33>(直径約1.6nm)の二つの量子ドットを選んだ。その結果、PbSe量子ドット系では、電子の有効質量変化を考量して初めて、モデルでの見積もりが第一原理シミュレーションの結果と定性的に一致することが解った。計算したPbSeとCdSeは似たようなdEg/dTの値を持つが、その構成は大きく異なっており、前者では電子一正孔の有効質量変化、後者ではバルク項からの寄与が支配的であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)