2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面における光触媒反応および光電子移動反応の第一原理計算手法の開発
Project/Area Number |
05J10622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神坂 英幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光触媒 / バンド計算 / 表面応力 / 光学応答 |
Research Abstract |
酸化チタンは光触媒活性をもつ物質である。しかし純粋な酸化チタンは、太陽光のうち近紫外の成分しか吸収しない。このため少量の不純物を混入させ可視光応答性を持たせた酸化チタンが研究されている。近年、炭素ドープした酸化チタンについて、可視光応答性と光触媒・光電気分解特性が実験により報告され、注目を集めている。 そこで炭素ドープした酸化チタンのバンド計算を行い、その光学応答を調べた。計算の結果、酸素サイトに炭素をドープすると、もともとの酸化チタンのバンドギャップ間に、三つの不純物準位が現れることが解った。光学応答を計算すると、これらの不純物準位を介した可視光応答性が確認された。一方、チタンサイトを炭素ドープした場合には、炭酸イオン(CO_3^<2->)状の構造が得られた。この構造はIR実験によっても報告されている。しかしこの構造には可視光応答性が見られなかった。 炭素ドープの研究と並行して、酸化チタンの光誘起親水化反応について研究した。これは光照射によって酸化チタン表面に何らかの準安定状態が形成され、その親水性(濡れ性)が著しく高まる現象である。実験によると、この親水化に伴って表面水酸基の増加と表面硬度の変化が起こる。水酸基の増加には、水や過酸化水素の寄与が議論されている。 そこでルチル(100),(110)表面に吸着した水分子(分子吸着と解離吸着)や水酸基の構造と、吸着に伴う表面応力変化を計算した。計算結果より(110)面に水分子が吸着した場合、分子吸着・解離吸着を問わず圧力が発生することが解った。それに対し、(100)面では張力の発生が見られた。水酸基の吸着では、いずれも圧力の発生が見られた。これらの結果の説明として、架橋酸素原子に水素が近づくと架橋酸素-チタン原子間の電子密度が低下すること、(100)面に水分子が吸着すると架橋酸素と水分子の間に水素結合が生じることを挙げた。
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Research Products
(3 results)