2006 Fiscal Year Annual Research Report
キラルホスフィンおよびホスフィンオキシド触媒を用いた実用的不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
05J10639
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白川 誠司 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グリーンケミストリー / 水 / フリーデルクラフト反応 / ライブラリー合成 / 有機触媒 / 酸触媒 / 求核置換反応 / アトムエコノミー |
Research Abstract |
近年、グリーンケミストリーへの関心が高まり、水を反応溶媒とした有機合成反応の開発が盛んに行われている。本研究では、水を反応溶媒とすることにより有毒な有機溶媒の使用を回避するのみならず、反応全般においてグリーンケミストリーを意識し、研究を行った。すなわち、反応後に廃棄される副生成物を極力除外し、原子効率の高い反応系を設計する。また、有毒な金属触媒を用いず、有機触媒を用いた反応開発を行う。以上のことを念頭に置き以下のような研究を行った。 多くの生理活性物質の構造に見られる、3位置換インドール化合物に着目し、これら化合物群を効率的に合成する方法として、三成分アザフリーデルクラフト反応に注目した。すなわち、長鎖アルキル基を有するカルボン酸を触媒として用い、アルデヒド、一級アミン、インドールの水中での三成分アザフリーデルクラフト反応により3位置換インドール化合物の母骨格を構築した。さらにここで得られたアザフリーデルクラフト生成物を、ルイス酸触媒存在下、求核剤を作用させることで、反応性の高いC-N結合の開裂を伴い、様々なタイプの3位置換インドール化合物へと誘導した。また本法を、抗乳ガン剤として機能する化合物群のライブラリー合成へと展開した。 原子効率の高い反応として、水中でのアルコール類の求核置換反応を開発した。本反応では、反応に伴う副生成物が水のみであることから、原子効率の高い環境調和型の反応プロセスが構築できる。具体的には、界面活性型有機酸触媒であるドデシルベンゼンスルホン酸を触媒として用い、ベンジルアルコールと様々な求核剤との反応を水中で実現した。また、本反応系を1-ヒドロキシ糖の脱水的C-グリコシル化反応に適用し、有用天然物の前駆体合成へと応用した。
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Research Products
(2 results)