2005 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウィルスベクターとTatペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発
Project/Area Number |
05J10654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増井 藤子 東京大学, 保健センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子ベクター / 重症心不全 / ジストロフィン |
Research Abstract |
アデノ随伴ウィルスベクターとTatペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発に関し、特に遺伝子治療に有効な導入遺伝子の探索研究を開始した。マックス・プランク研究所(ドイツ)との共同研究により、重症心不全のヒト症例を用いて重症化の分子機構の研究を行い、導入遺伝子の標的となる蛋白質について検討した。心移植に至った23例の重症心不全患者の心筋におけるジストロフィン及びα-、β-、γ-、δ-サルコグリカンの発現を特異抗体によるウェスタン・ブロット法により検討した。 その結果、23例でジストロフィンの断片化を認め、分解産物の分子量と分解の程度は、6型に分類された。その中には、ジストロフィンの発現が見られない検体が確認された。α-サルコグリカンは検体間で相対発現量にばらつきが見られた。δ-サルコグリカンは数例の検体で発現量が顕著に少なかった。β-、γ-サルコグリカンは検体間で発現に差異が見られたものの、比較的検体間で相対発現量のばらつきは少なく、強い発現が見られた。 本研究の結果及びこれまでに報告されている様々な傍証から、重症心不全の進行に伴うジストロフィンの崩壊には、細胞内タンパク質分解酵素が関与していると予想している。一方、Tatペプチドを用いた遺伝子導入を行うためのパイロット実験として、蛍光ラベルされたTatペプチドを培養液中に添加すると、A7細胞内に蛍光が確認され、Tatペプチドが細胞内に導入されることが、共同研究者によって確認された。本研究は、導入遺伝子の探索研究及びTatペプチドの細胞内導入実験と併せて、ヒト型重症心不全の遺伝子・再生医療を目的とする、アデノ随伴ウィルスベクターとTatペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発研究の一助となるものである。
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Research Products
(3 results)