2007 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウィルスベクターとTatペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発
Project/Area Number |
05J10654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増井 藤子 The University of Tokyo, 保健センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子導入ベクター / 重症心不全 |
Research Abstract |
アデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターとTATペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発に関し、第1、2年度目の研究結果をふまえ、導入遺伝子としてGFPを組み込んだI型組み換えAAVベクター(GFP-I型AAV)と、TATペプチドの結合方法の条件検討を行った。TATペプチドの濃度条件を換えて結合反応を行い、各々を培養液中に添加すると、一定のTAT濃度では、COS-7細胞内に明瞭な蛍光シグナルが確認された。次に、反応順序の検討を行った。その結果、GFP-I型AAVのカルボキシル基を活性化した後に、TATペプチドとの結合反応を行った方が、導入効率が良好であった。また、反応後の精製に、数種類のフィルターを用いて、遺伝子導入効率を比較検討したところ、一定の精製条件下では、TATペプチドとペプチド結合反応を行っても、GFP-I型AAVは、遺伝子導入効率が低下しないことが明らかになった。 第1、2年度目に引き続き、遺伝子治療に有効な導入遺伝子の標的タンパクの探索研究を行った。ドイツMax-Planck研究所との共同研究により、重症心不全のヒト症例を用いて重症化の分子機構の研究を行い、導入遺伝子の標的となる蛋白質について検討した。その結果、心移植に至った23例の重症心不全患者の心筋における、細胞内タンパク質分解酵素カルパイン1及び2の発現様式とその活性及び病態に、相関が予想された。本研究の結果及びこれまでに報告されている様々な傍証から、重症心不全の進行に伴うジストロフィンの崩壊に対するカルパインの関与を予想しており、導入遺伝子の標的蛋白質の、候補の1つである。 本研究は、TATペプチドを用いた細胞内導入実験、及び、導入遺伝子の探索研究共に、ヒト型重症心不全の遺伝子・再生医療を目的とする、AAVベクターとTATペプチドを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発研究の一助となるものである。
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Research Products
(4 results)