2005 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達の可視化解析によるシナプス可塑性制御機構の解明
Project/Area Number |
05J10658
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
並木 繁行 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シナプス / グルタミン酸 / 可視化 |
Research Abstract |
本年度は、本課題の基本技術となる、グルタミン酸の可視化のための蛍光プローブの作製を行った。AMPA型グルタミン酸受容体のGluR2サブユニットのグルタミン酸結合ドメインを基本骨格として採用した。その403番目アミノ酸残基のセリンをシステインに置換し、導入したシステインのチオール基に選択的に蛍光色素オレゴングリーンを結合させた。グルタミン酸の結合に伴い、グルタミン酸結合ドメイン内に生じる構造変化をオレゴングリーンの蛍光特性変化として読み出すことに成功した。このコンジュゲートはグルタミン酸結合により、最大で40%の蛍光強度の増加を示すことが確認でき、グルタミン酸に対する解離定数は148nMであった。このコンジュゲートを細胞膜にビオチン-ストレプトアビジン結合を介し、培養海馬神経細胞の細胞膜表面に固定化することに成功した。細胞膜上に固定化された状態でもこのコンジュゲートは機能することが確認できた。さらに神経細胞にフィールド電気刺激を行うことで活動電位の発生に伴うグルタミン酸放出に起因する蛍光変化を捉えた。ここで捉えられた蛍光増加のシグナルはプレシナプスのマーカーであるFM色素のシグナルの分布と空間的に中程度の一致を示した。これは検出したグルタミン酸放出がシナプス由来であることを支持する。上記の組み合わせのコンジュゲート以外にも多数のグルタミン酸結合ドメインの変異体と蛍光色素の組み合わせからなるコンジュゲートを作製し評価し、得られた評価に基づきさらに改変を行っている。
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