2006 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の維持および血球前駆細胞の分化・増殖における転写因子AML1の機能解析
Project/Area Number |
05J10666
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 幹 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造血幹細胞 / 転写因子 / マウスモデル / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
AML1欠失骨髄細胞の網羅的な遺伝子発現解析によりNotch1,Evi-1の発現量の変化が明らかとなったが、これらは造血系においてはとくに幹細胞分画に発現しその動態に関与する。そこで、AML1による骨髄造血幹細胞数の制御と白血病発症の関与をより詳細に明らかにする目的で、AML1マウスから骨髄細胞を採取し、限界希釈法により長期骨髄再構築能を持つ造血幹細胞(LT-HSC)を定量した。結果、AML1欠失骨髄中には対照の約9〜10倍のLT-HSCが存在した。また、AML1欠失骨髄中にはSide population (SP)細胞・細胞周期GOなどの静止期造血幹細胞が増加していることも示された。AML1をレトロウイルスベクタにより骨髄細胞に過剰に発現させるとその造血再構成能は低下し、AML1が造血再構築可能な幹細胞活性を抑制することが明らかになった。造血幹細胞を含む分画で発現するレセプターであるFLT3、c-KitはヒトAML1変異白血病において活性化型変異が存在する。そこでこれらとAML1変異の相互作用による白血病発症を想定し、AML1欠失骨髄にこれらの遺伝子を導入して細胞の不死化の有無を検討したが、これらの相互作用での細胞不死化は認められなかった。一方、(3;21)型染色体転座で形成されるキメラ遺伝子AML1-Evi-1は骨髄細胞を不死化させることが知られている。AML1-Evi-1はEvi-1の全長を含むと同時にAML1の機能を抑制することから、AML1の機能不全がEvi-1と協調して白血病をもたらす可能性が考えられる。AML1-Evi-1からEvi-1の各ドメインを欠く欠失変異体を骨髄細胞に導入する実験では骨髄細胞の不死化がみられず、AML1-Evi-1による造腫瘍活性にはAML1の機能不全に加え、Evi-1部分のすべてのドメインが必要であることが示された。
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Research Products
(2 results)