2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞生存と細胞死を決定する新しい分子TDAG51の機能発現機構の解析
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05J10722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 由香 (豊島 由香) The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | IGF-I / インスリン / 細胞死 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 脂肪細胞 / 細胞内シグナル / 代謝 |
Research Abstract |
本研究は、TDAG51、そしてTDAG51の誘導に関与するシグナル伝達分子を介した細胞の運命の新しい決定機構を解明、さらにこの分子が細胞の生存・死、あるいは分化・増殖を制御する結果、どのような機構で生体恒常性を調節しているかを明らかにすることを目的としている。本年度は、動物モデルを使って、細胞死を制御しているIGF・インスリンの栄養状態に応答した変動を検討した。 (1)ラット組織におけるIGF-1に応答したシグナル因子の変動の解析 in vivoでのIGF-Iに応答したシグナル因子の変動を解析するために、ラットの下大静脈よりIGF-Iを注入し、肝臓、筋肉、白色脂肪組織のインスリン受容体(IR)、IGF-1受容体(IGF-IR)、IRS-1およびIRS-2のチロシンリン酸化量を検討した。その結果、いずれの組織のどのシグナル因子についても、高濃度IGF-Iでいずれのシグナル因子も顕著にチロシンリン酸化されていた。しかし、同時にIRもチロシンリン酸化されており、この実験系ではIGF-Iシグナルをin vivoで検討するのには適さないと結論付けた。 (2)IGF-I濃度に差のある栄養条件の検索 摂食によって濃度が変動するインスリンとは異なり、IGF-Iは栄養状態に応答して濃度が変動し、栄養状熊が良いほど血中IGF-I濃度が高くなる。そこで、血中のIGF-I濃度に差の出る栄養条件を検討した結果、5%と15%カゼイン食(5Cと15C)を14日間給餌したとき血中IGF-I濃度に最も差が見られた。 (3)低タンパク食摂食によるIGF活性の低い状態でのインスリン様シグナル因子の変動 5Cと15Cを14日間給餌後、15日目に摂食前、摂食中、摂食後の肝臓および視床下部のインスリン様シグナル因子の変動を検討した。その結果、5C摂食ラットの肝臓ではIR、IRSs、mTORおよび4E-BP1のタンパク量の増加によるインスリン応答性の上昇が起こり、視床下部では摂食中のIRS-2チロシンリン酸化が減少していた。 今後は、この動物モデルの他の組織についても検討を加え、これらの変化に対するTDAG51の動態およびIGF活性低下の重要性を引き続き検討する。 (3)低タンパク食摂食によるIGF活性の低い状態でのインスリン様シグナル因子の変動 5Cと15Cを14日間給餌後、15日目に摂食前、摂食中、摂食後の肝臓および視床下部のインスリン様シグナル因子の変動を検討した。その結果、5C摂食ラットの肝臓ではIR、IRSs、mTORおよび4E-BP1のタンパク量の増加によるインスリン応答性の上昇が起こり、視床下部では摂食中のIRS-2チロシンリン酸化が減少していた。 今後は、この動物モデルの他の組織についても検討を加え、これらの変化に対するTDAG51の動態およびIGF活性低下の重要性を引き続き検討する。
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Research Products
(2 results)