2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンメチル化状態の安定性・可塑性とエピジェネティックメモリー
Project/Area Number |
05J10723
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 理人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エピジェネティクス / ヘテロクロマチン / suppressor of variegation / ヒストン脱メチル化 / LSD1 / Jmjd2 / ショウジョウバエ / マウス |
Research Abstract |
研究代表者はThomas Jenuwein、Gunter Reuterらのグル-プと共同でショウジョウバエの遺伝学的手法によって、ヒトLSD1のホモログであるCG17149/dLsd1を、Su(var)[suppressor of variegation]3-3遺伝子の実体として同定し、更にこれがヒトLSD1と同様の活性を持つことをin vitroで証明した。この発見は、(1)LSD1の重要性を生体レベルで示した、(2)LSD1が遺伝子発現制御のみならずヘテロクロマチンの形成に関与している、(3)この過程においても脱メチル化活性が重要である、という3点において新規である。 また、マウスのjmjCファミリーであるJmjd2bをTet制御化で発現する安定細胞株を樹立し、Jmjd2b誘導下で、H3-K9トリメチル化状態が大幅(1/3以下)に減少することを免疫蛍光染色および質量分析により示した。この細胞株を用いて、安定な炭素同位体C13を利用した解析により、H3-K9トリメチル化がJmjd2b誘導下においてactiveに除去されることが示された。これは、リジン残基のメチル化状態で最も安定であるトリメチル化が、直接的に脱メチル化されることを世界に先駆けて示す衝撃的な結果である。更にjmjCファミリーの大部分(30のうち25)の遺伝子をクローニングし、培養細胞に強制発現させ、Jmjd2bと同じサブグループに分類されるJmjd2c、Jmjd2d、Jmjd2e/XM_911001にも同様の活性があることを免疫染色により見出した。 これらの成果はリジン残基脱メチル化のクロマチン構造制御における役割の理解を深め、今後のヒストン及び非ヒストンタンパク質のメチル化・脱メチル化研究の発展を期待させるものである。
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