2005 Fiscal Year Annual Research Report
レジスタンス運動による内分泌と成長因子局所分泌に関する活性機序解明と処方への応用
Project/Area Number |
05J10742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 一成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | レジスタンス運動 / 同化ホルモン / 異化ホルモン / 筋代謝物 |
Research Abstract |
平成17年度は、筋代謝環境の変化が一過性の運動に対する同化および異化ホルモンの分泌応答に及ぼす影響を検討した. 成人男性23名を、水素イオンの緩衝作用を有するタンパク(カルノシン・アンセリン)を含んだドリンクを摂取する群(カルノシン・アンセリン摂取群、15名)およびプラセボドリンクを摂取する群(コントロール群、8名)に分類した.両群の被験者には、各種ドリンクを1日に2本、約4週間にわたり摂取させた.ドリンク摂取期間前後に、同内容のレジスタンス運動(両脚での膝伸展運動、5セット)を負荷し、運動前後における血中乳酸および各種ホルモン濃度の変化を検討した. その結果、カルノシン・アンセリン摂取群では、ドリンク摂取期間後において、レジスタンス運動後のアドレナリン、ノルアドレナリンおよび成長ホルモンの分泌応答が有意に低下した(P<0.05).一方、フリーテストステロンおよびコルチゾールの分泌応答には、ドリンク摂取期間前後において顕著な差は認められなかった.また、コントロール群においては、ドリンク摂取期間後にコルチゾールの分泌応答の有意な低下がみられたが(P<0.05)、その他のホルモンの分泌応答に有意な変化は認められなかった. 上述の結果は、水素イオンの緩衝物質であるカルノシン・アンセリンを長期摂取することにより、レジスタンス運動後におけるアドレナリン、ノルアドレナリンおよび成長ホルモンの分泌応答が低下することを示すものである.なお.このことには、筋中カルノシン濃度の増加により筋緩衝能が改善し、筋代謝物の蓄積に伴う活動筋から中枢への求心性シグナルの減弱したことが関与しているものと推察される. 上述の研究内容は、平成18年度に開催される関連学会において発表する予定である.
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