2006 Fiscal Year Annual Research Report
レジスタンス運動による内分泌と成長因子局所分泌に関する活性機序解明と処方への応用
Project/Area Number |
05J10742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 一成 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | レジスタンス運動 / 同化ホルモン / 異化ホルモン / 筋代謝物 |
Research Abstract |
本年度は,レジスタンス運動時の活動筋における代謝物の蓄積と各種ホルモンの分泌反応との関係を検討した.成人男性8名を対象に,以下の3試技をそれぞれ異なる日に行わせた. (1)レジスタンス運動のみを行う試技(RE) (2)レジスタンス運動の終了直後に,両脚基部を5分間加圧する試技(RE+Cuff) (3)両脚基部を5分間加圧する試技(Cuff) レジスタンス運動には両脚でのレッグエクステンション運動を用い,3セットの運動を行わせた.RE+Cuffでは,3セット目の運動終了直後から5分間,両脚の基部を5分間加圧した(約150mmHg).Cuffでは,運動は行わず,両脚基部の加圧のみを実施した.運動前および運動終了後に採血し,血液pH,血中乳酸,グルコース,遊離脂肪酸および各種ホルモン濃度を測定した. その結果、REでは運動終了3分後に血中乳酸濃度の最高値がみられたのに対して,RE+Cuffでは運動終了10分後に最高値が認められた.運動前後におけるノルアドレナリン濃度の変化には,REとRE+Cuffとの間に顕著な差は認められなかった.一方,成長ホルモンおよびコルチゾール濃度は,RE+Cuffが運動後20分以降に明らかに高値を示した.また,成長ホルモンに関しては,運動後20分の時点において,RE+CuffとREとの間に有意差が認められた.一方,加圧のみを行ったCuffでは,血中ホルモン濃度の有意な増加は認められなかった. 上述の結果は,同一内容のレジスタンス運動であっても,運動終了直後に活動筋付近の血液循環を制限し,筋代謝物の蓄積を助長することによって成長ホルモンやコルチゾールの分泌反応が亢進することを示すものである.したがって,本研究の結果は,レジスタンス運動時における筋代謝物の蓄積と内分泌系の活性との関連を示唆するものであると考えられる.
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