2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的細胞死とCAD1機能に着目した植物免疫機構の全容解明
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05J10751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 千鶴子 (山室 千鶴子) 東京大学, 大学院総文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物免疫 / プログラム細胞死 / 過敏感細胞死 / MACPFドメイン / 擬似病斑変異体 / サリチル酸 / 病原体感染 |
Research Abstract |
植物の免疫機構の特徴は、個々の細胞で病原体の侵入を感知し、全身的防御応答の活性化が誘導される点にある。過敏感細胞死(プログラム細胞死)に代表される局所的防御応答は、感染部位での病原体の侵入と増殖をおさえ全身感染を免れようとする植物特有の免疫戦略である。この様な免疫機構の解明は、病原体の感染に関わらず恒常的な防御応答が誘導される変異体の単離と解析が有効である。これまでに、シロイヌナズナの恒常的に植物免疫機構が活性化したcad1(constitutively activated cell death1)とその原因遺伝子の単離に成功しCAD1を中心とした過敏感細胞死発動機構の解明を研究の目的としてきた。 CAD1蛋白質は、MACPFドメインを持つ。動物では、MACPFドメインが蛋白質間相互作用に寄与し、ホモダイマーあるいはヘテロダイマーを形成することで、機能する例が知られている。シロイヌナズナにも、MACPFドメインを持つ3つのCAD1ホモログが存在し、(1)それらの遺伝子は、植物免疫活性化と連動して発現が上昇すること(2)CAD1発現量の変動が他のホモログ遺伝子の発現量に影響を与えること等から、CAD1とこれらホモログとの複合体形成が直接的に過敏感細胞死等の植物免疫活性化に関与する可能性がある。そこで、ベンサミアナ葉におけるこれらホモログ間の相互作用について、アグロバクテリウムを用いた一過的発現系を用いて検討したところ、CAD1とCAD1パラログのNSL1が相互作用することを確認した。今後は、これら蛋白質の相互作用と植物免疫誘導機構の関わりについて検討する予定である。 昨年度、CAD1タンパク質と相互作用する新規タンパク質を、酵母Two-Hybridスクリーニング法を用いて網羅的に行ったところ、CAD1と相互作用する候補蛋白質として、老化関連遺伝子、オートファジー関連因子を単離した。そこで、現在は、それら候補因子とCAD1との植物細胞中での相互作用についても検討を行っている。
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Research Products
(1 results)