2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ストレス耐性植物の分子育種に向けたストレス応答性P450経路の同定と機能解析
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05J10806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋田 慎之介 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | シトクロムP450還元酵素 / NAD補酵素 / NAD合成酵素 / NMNAT / アブシジン酸 / シロイヌナズナ / イネ |
Research Abstract |
NADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)の酵素活性は細胞内のNAD補酵素量に依存し、NAD補酵素の供給は生合成酵素によって制御される。そこでシロイヌナズナを用いてNAD生合成遺伝子の発現組織の解析を行った。その結果、若い器官や未分化な細胞を含む組織で遺伝子発現レベルが高い事を明らかにした。 NAD補酵素量の増大はCPRを活性化すると考えられるため、NAD生合成経路遺伝子を高発現する形質転換イネおよびシロイヌナズナを作出した。 NAD合成酵素(NADS)遺伝子を異所的に高発現させた場合、シロイヌナズナ植物体では老化が促進される事が明らかとなった。現在NADを介した細胞老化の分子機構について解析中である。一方、NAD前駆体のNaADを合成する酵素であるニコチンアミドモノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ(NMNAT)を異所的に高発現させた場合では老化の促進は観察されなかったが、器官数の増加および矮小化が観察された。また、NMNATの過剰発現植物体では乾燥ストレスに対する耐性が付与され、逆にNMMATの欠損変異体では乾燥ストレスに対する抵抗性が低下していた。同様に、植物のストレスホルモンであるアブシジン酸に対する応答性も変化している事を明らかにし、葉表面の気孔開閉がNAD補酵素によっても制御される事が判明した。 RT-PCR法を用いて形質転換イネにおけるNAD生合成遺伝子の高発現を確認した。トランスジーンの存在が確認された約300系統のイネから酵素活性の高い系統およびNAD補酵素含量の高い系統を選抜中である。
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Research Products
(3 results)