2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規ストレス耐性植物の分子育種に向けたストレス応答性P450経路の同定と機能解析
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05J10806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋田 慎之介 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | CPR / P450 / NAD補酵素 / シロイヌナズナ / イネ / 酸化ストレス / 孔辺細胞 / NAD生合成遺伝子 |
Research Abstract |
本年度得られた研究成果は次の通りである。 [1]高NAD補酵素含有イネおよびシロイヌナズナの作出 NADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)の酵素活性は細胞内のNAD補酵素量に依存し、NAD補酵素の供給は生合成酵素によって制御される。従って、NAD補酵素量の増大はCPRを活性化すると考えられ、NAD生合成経路遺伝子を高発現する形質転換イネおよびシロイヌナズナを作出した。RT-PCR法によってNAD生合成遺伝子の高発現が確認された形質転換シロイヌナズナ・イネのNAD補酵素レベルを測定し、遺伝子発現レベルの上昇に伴ってNAD補酵素レベルが上昇する事を明らかにした。これらの形質転換値物を観察したところ、通常育成条件下では顕著な表現型は観察されなかったが、酸化ストレスに対する抵抗性が観察された。これらの形質転換植物では抗酸化物質が高蓄積しており、NADレベルの上昇およびそれに伴って活性化されたCPRによって二次代謝レベルが上昇したと考えられた。 [2]シロイヌナズナNAD生合成経路遺伝子の解析 CPRの酵素活性は細胞内のNAD補酵素量に依存し、NAD補酵素の供給は生合成酵素によって制御される。そこでNAD生合成に閣わると推定される14遺伝子についてシロイヌナズナの公開データベースを用いて発現パターンを特定した。その結果、NAD生合成遺伝子はほとんどの組織・細胞で低レベルでの発現が認められる一方で、孔辺細胞では高い発現が観察された。データベースに登録されていない遺伝子についてはRT-PCRによって孔辺細胞での発現を確認した。植物のガス(二酸化炭素・水)交換に重要な気孔運動時に孔辺細胞は酸化ストレスに曝されるが、この時の細胞生存率がNADレベルに依存する事を明らかにした。
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Research Products
(5 results)