2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑瀬 英男 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ウミガメ類 / 衛星追跡 / 安定同位体分析 / 生活史 |
Research Abstract |
従来、ウミガメ類の成体は、砂浜での産卵を終えると浅海の摂餌場へ回遊し、底生動物や海藻を摂餌していると考えられてきた。しかし申請者らの研究により、同一産卵群内に外洋で浮遊生物を摂餌している個体もいることが明らかにされた。各摂餌域では各海域に適応した潜水行動をとっていると予想される。例えば外洋では潮目に集中している浮遊生物を専食するために、短く浅い潜水を頻繁に繰り返しており、浅海では暗い海底で底生動物などを索餌するために、外洋に比べ長く深い潜水をより少ない頻度で行っていると予想される。本研究ではこれらを最新の遠隔測定技術を用いて検証した。 2005年7月下旬に、鹿児島県上屋久町永田浜において、産卵上陸してきた雌成体2頭を捕獲した。潜水データを記録できる衛星用電波発信器を装着後、2頭を放流した。一頭は浅海の東シナ海へ、もう一頭は外洋の太平洋へ向かった。浅海の個体は、昼に100〜150mまで潜ることが多く、夜は0〜25mで時間を費やすことが多かった。この個体の滞在水域の水深が150m以浅だったので、昼に海底まで潜って底生動物を索餌していたと推察された。またアカウミガメ雌成体は中性浮力を利用して休息することが知られており、中性浮力を保てるのが14mぐらいまでと報告されている。よって夜、0〜25mで多く時間を費やしていたのは、休息のためと推察された。外洋へ向かった個体は、昼夜関係なく0〜25mで時間を費やすことが多かった。昼の方が水面で過ごすことが多かった。この個体は昼に水面や表層の浮遊生物を索餌し、夜は主に中性浮力を利用して休息していたと推察された。最初の予想通り、浅海個体の索餌潜水時間は長く、外洋個体のそれは短かった。
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Research Products
(2 results)