2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNAに基づくフグ目に関する系統解析と新たな分子マーカーの探索
Project/Area Number |
05J10824
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野上 祐介 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / トラフグ / 系統解析 / エクソン・イントロン構造 / モデル生物 / 核遺伝子 / フグ目 / ミドリフグ |
Research Abstract |
1.フグ目について5種(ハリセンボン・ホシフグ・ハナキンチャクフグ・キタマクラ・ヨリトフグ)のミトコンドリアDNA全塩基配列を決定した. 2.系統解析ソフトMrBayes3.1.2が新たに発表されたため,これを用いてフグ目についての系統解析を行った.ND6遺伝子とタンパク質遺伝子第3座位は,高位分類群間の系統解析では系統情報を持っておらず解析に用いないのが普通であったが,今回の解析ではこれらの領域を含めたほうが解像度が高いことが示された. 3.ミドリフグTetraodon nigroviridisのミトコンドリアDNA全塩基配列を用いて,他のモデル生物・魚類の主要系統群間との分岐年代推定を行った.塩基置換速度一定を仮定しない最新の方法であるベイズ法(Thornian Time Traveler 1.0)を用いた分岐年代推定により,ミドリフグとトラフグの分岐年代は約8480万年という結果が得られた.これは従来の仮説(3000万年)の2倍以上の古さである.その他の魚類の主要系統群間の分岐年代も化石から推測されていた年代よりも2倍以上のかなり古い値が得られた. 4.トラフグなどのゲノムデータベースを利用し,FH遺伝子,MDH遺伝子,SART1遺伝子などモデル生物間でエクソン・イントロン構造が全く異なる遺伝子を発見した.これらの遺伝子についてプライマーを設計し,フグ目及びその近縁群についてPCRを行い増幅された産物を電気泳動することによって産物の長さを推測し,エクソン・イントロン構造の違いを調べた.SART1遺伝子についてはPCR増幅に失敗したが,FH遺伝子,MDH遺伝子については成功した.しかしフグ目魚類およびその近縁群ではこれらの遺伝子にエクソン・イントロン構造の変異は見られなかった.
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