2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 敏哉 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共有 / 特許権 / 著作権 / 準共有 / 分割請求権 / 持分割合に応じた使用 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に続き比較法研究を行った上で、現行法の分析・評価と解釈論・立法論の検討を行った。 比較法研究の第一の対象は、英米の裁判例である。共有所有権の規律が基本的に同様でありながら特許・著作権につき英米で四者四様の規律が形成されるに至った背景を明らかにするため、裁判例とこれを評価する学説につき検討した。その結果、背景となった要因として、形式的な要素(条文や特許状の文言)とともに基本的な規律が形成された時期の時代背景等があげられ、特に実質論として「共有者の利用による需要の充足・権利の経済的価値の下落」と「利用した共有者が負担したリスクとコスト」とが重要な考慮要素となることが明らかとなった。 第二の対象は、日本民法の規律である。外国法の検討を踏まえて、日本民法の規律に関する従来の有体物を巡る議論を、とりわけ無体物にあてはめた場合にいかなる帰結をもたらすのかという視点に着目し検討する作業を行った。民法の規定のなかでも、分割請求の可否は現行特許法・著作権法の下での解釈問題として、持分割合に応じた使用(自己実施・ライセンスにつき持分割合に応じた利益の分配を行う)と多数決による管理が立法論上の選択肢として、重要な検討対象となった。 そして昨年度からの歴史・比較法研究を踏まえ、現行特許・著作権法の評価と解釈論上の諸問題、立法論の選択肢につき考察を行った。現在その成果をまとめた論文を執筆中である。
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