2005 Fiscal Year Annual Research Report
政治意識・投票行動の経時的変化の研究-その原因と帰結
Project/Area Number |
05J10847
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 耕資 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 投票行動 |
Research Abstract |
本研究は、「代議制民主主義においてどのような有権者がより強くエリートに影響力を行使しているのか」という極めて重要な問いに、現代日本のデータから数量的アプローチによって答えるべく、一時点でのデータの分析に加え、投票・政党支持の変化を分析するものである。本年度は、その基礎となる研究を遂行した。具体的な実績は以下のとおりである。 1 行動・意識の「変化」に着目する前に、一時点での静的な投票行動を説明するために、有権者-エリート関係を考察するのにふさわしい理論的整合性の高い計量モデルを構築して、現実のデータに当てはめて推定した。より具体的には、いわゆる空間モデルの枠組みに依りつつこれに修正を加えて、複数政党間の選択と棄権という選択をより適切にモデル化した。これにより、各個体(有権者)についてより適切に選択確率の理論値を算出することが可能となった。なお、この計量モデルの推定には計算機がインテンシブに用いられた。また、計量モデル構築法について、米国で先駆的研究者と会談し、有益な示唆を得た。 2 上記の計量モデルで得られたパラメータを、数理的分析に当てはめ、一定の仮定のもとで有権者の行動がエリートレベルの政治にどのような帰結をもたらすかを分析した。その結果、日本においても、特定の投票行動様態が、政党の政策位置取りインセンティブに決定的な影響を与え、有権者によるエリートの政策のコントロールに重要な意味を持つことが明らかとなった。なお、この数理的分析にも計算機がインテンシブに用いられた。
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