2006 Fiscal Year Annual Research Report
栄養の質の概念を導入した新しい糖尿病栄養教育手法の開発と有効性の検討
Project/Area Number |
05J10850
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 由紀 (天野 由紀) 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 栄養教育 / 2型糖尿病 / Glycemic index / 栄養指導 / 教材開発 / 境界型 |
Research Abstract |
日本の食習慣を考慮したGlycemic index (GI)教育手法を開発し、その有用性および血糖コントロールへの有効性を明らかにすることを目的とし、平成17年度に引き続いて介入試験を実施した。本年度は、昨年度に取得したデータを再解析して詳細を検討すると共に、介入を終了した者全員に対する1年目のフォローアップを行った。 対象者は、地域在住の2型糖尿病および境界型とし、通常のエネルギー等の制限を行う通常教育群、あるいは通常教育にGIの教育を組み合わせたGI教育群の2群に無作為割付を行った。両群共に3か月間に4回の個人栄養教育、2回の血液検査・身体計測・食事関連QOL質問紙記入を行った。 介入を終了した対象者39名において、主要評価項目であるHbAlcは、通常教育群と比較してGI教育群において有意に改善した。一方、低GI食品による糖質摂取割合などのGIに関連する指標は、GI教育群においてのみ有意に改善した。以上の結果は、英文化してDiabetes Careに投稿し、受理された。 また、3ヶ月間の介入を終了した39人全員に対し、1年後のフォローアップを行った結果、1年目のHbAlc平均値をベースライン時と比較すると、通常教育群は1年目σ)平均値がベースラインの値と同様であったのに対し、GI教育群においては改善した傾向がみられた。しかしながら、2群間の差は有意ではなかった。 GIを用いた栄養教育を通常の栄養教育と組み合わせ、3か月間の栄養教育を行った結果、通常教育と比較して血糖コントロールが有意に改善した。さらに、GIを用いた栄養教育へのアドヒアランスは良好であった。したがって、GIを用いた栄養教育は、比較的軽度の2型糖尿病および境界型における血糖コントロールの改善に有効であり、栄養教育としての有用性が示された。しかしながら、長期的な効果を得るためには、継続的な介入が必要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)