2006 Fiscal Year Annual Research Report
韓国語における音調の類型とその歴史的変化のモデル化-全州方言を中心に-
Project/Area Number |
05J10866
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 文淑 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクセント / 方言 / 朝鮮族 / 朝鮮語 / 慶尚道方言 / アクセント変化 |
Research Abstract |
本研究は、韓国語におけるアクセント(音調)変化を理論化するのにその目的がある。そのため、アクセント変化において重要であると思われる地域の方言を調査し、そのデータを分析・比較してきたのである。 平成18年度のもっとも大きい成果と言えるものは、中国黒龍江省尚志市で話される朝鮮語のデータ収集とそれの分析結果である。 この地域は100年ほど前朝鮮半島の慶尚道からの移住者が集まって村を作ったという。だから、基になる言語はやはり慶尚道方言である。しかし、この地域は朝鮮族だけでなく中国の人も多く、言語的にもその影響を強く受けている。また、この何年は韓国語標準語も直接入ってくるようになり、これまでは知らなかった外来語や新語が増えてきておる。アクセントに関しても中国語や韓国標準語の影響は大きい。結果的には、基になっている慶尚道方言のアクセント変化とはその内容が異なる部分が多く見られる。 しかし、韓国語アクセント変化全体から見るとある程度一般化することができる。これだけ離れた地点で、様々な社会的環境の影響の中でもアクセント変化の方向性など全体の変化に関しては共通する部分が見られるからである。 これまでやってきた全羅道方言、ソウル方言などの結果と今年度の成果を合わせると、これまではっきりしていなかった韓国語におけるアクセント変化の全体図が見えてくると思われる。
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