2005 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発における競合他社の能力活用-半導体デバイス業界のケース-
Project/Area Number |
05J10912
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永幡 奈央子 (貴志 奈央子) 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 製品開発 / ネットワーク / 特許 / 半導体 |
Research Abstract |
博士論文の研究対象である半導体業界についてデバイスメーカー・装置メーカー・専門商社に対しインタビュー調査を重ね、研究開発および製造設備に対する投資の戦略性が企業業績を左右していることが明らかとなった。さらに、博士論文では研究開発の効率性に焦点をあて技術進歩が早く不確実性の高い業界において優れた業績を維持できる戦略について、競合他社の既存知識の活角が研究開発の効率化を可能にするという仮説をたて、定量的なアプローチを行った。分析ではUSPTO(United States Patents and Trades Office)の発行する特許に関しNBER(National Bureau of Economic Research)が整理したデータを用い、特許の参照関係から技術的なネットワークを描いた。仮説に立脚し、研究開発の意思決定を効率化させるという論理展開から、新たな参照関係が過去に優れた技術を生み出した企業の特許との間に形成される確率が高いことを予測していたが、こうした法則性は部分的に立証されるにとどまった。その理由として、優れた技術を開発した経緯のある企業が新たに生み出す技術には業界中の関心が集まるため、激しい競争に陥る潜在性も高く回避されている可能性が考えられる。最後に、研究成果を米国で開催された学会およびドクトラル・カンファレンスにおいて発表し、多様な見解に基づく指摘を受けることで論理展開の洗練を図っている。
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