2005 Fiscal Year Annual Research Report
米国の対日・対朝鮮占領政策(1945〜1948年)と在日朝鮮人問題
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05J10957
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崔 徳孝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 朝鮮米軍政 / GHQ / SCAP / 在日朝鮮人 / 朝鮮占領政策 / 日本占領政策 |
Research Abstract |
2005年度の研究作業はまず、2004年12月に同時代史学会の研究大会で発表したテーマ(「朝鮮戦争と在日朝鮮人-義勇兵派遣の問題を中心に」)を、そこでの議論を参考にしながらさらに深め、論文として発表する作業から開始した。5月までに初稿を完成させ、6月からは、7月の資料調査に向けて、米国の対日・対朝鮮占領に関する先行研究、特に一次資料の紹介を多く含む先行研究の読解に努めた。先行研究の読解では、主に私の研究と関連する米国外交文書がどのレコード群に存在するのかを表をつくりながら整理し、短期間の海外資料調査で効率よく関連資料の収集ができるよう準備した。 7月に米国のメリーランド州にある国立公文書館で4週間、資料調査をおこなった。資料調査では、主に米国の対朝鮮占領政策に関する膨大な資料群のなかから、朝鮮米軍政が在日朝鮮人に対しどのような認識をもっていたのかを浮き彫りにできそうなボックスに照準を絞り、限られた期間内でできるだけ多くの文書をコピーできるように心がけて資料収集をおこなった。 8月以降は主に、米国での資料調査で収集した一次資料の読解と、既存の冷戦史研究の読解・整理をおこなうとともに、私の研究を冷戦史研究のなかでどのように位置づけることができるのか、もしくは既存の冷戦史研究とどのように差異化できるのかを考えながら研究を進めた。既存の冷戦史研究が大国中心のアプローチ、すなわち、米ソ対立のみに比重をおくアプローチや、国家間関係のみを扱うアプローチをとってきたのに対し、私の研究では、下からの民衆運動と国際関係の相互作用という視角を導入した冷戦史研究になるよう試みた。具体的には、米国の対日占領政策の転換(「逆コース」)の背景として、ヨーロッパにおける米ソ対立の深化(冷戦の始まり)や中国内戦における国民党勢力の敗退という国際的要因のほかに、朝鮮米軍政に対する朝鮮人の反発の激化とGHQ/SCAP・日本政府の統制強化に対する在日朝鮮人の抵抗運動の展開が及ぼした影響という側面を重視しながら、東アジアにおける「冷戦」の起源をより多面的に捉える作業をおこなった。
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Research Products
(1 results)