2005 Fiscal Year Annual Research Report
動物・未開・子供--20世紀日米における人と自然の「境界」に関する文化表象
Project/Area Number |
05J10964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
信岡 朝子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境史 / 文化研究 / 思想史 / 自然観 / 環境保護 / 言説 / 日本:アメリカ |
Research Abstract |
本研究は、動物・未開人・子供をキーワードに、20世紀日米における人と自然の関係性にまつわる言説体系を解読する試みである。年度初頭から筑波大学付属図書館、東京大学付属図書館等において、明治・大正期の日本児童研究に関する文献調査を行い、アメリカ的な発達心理学の理念がどのように受容・消費されたかを一次資料的に裏付けることを試みた。7月1〜4日には、京都大学付属図書館において日本の科学教育関連の図書・雑誌を、また同月21〜23日には広島大学付属図書館において雑誌Nature-Study Reviewの閲覧・調査を行った。特にNature-Study Reviewは、20世紀初頭の北米で普及したネイチャースタディーという教育理念を理解する上で重要な資料であるが、米国でも所蔵機関は少なく、今回広島大学において初期数号を除きほぼ全巻を閲覧できたことは大きな収穫であった。8月24〜26日には、大阪府立国際児童文学館にて、日本の児童研究史を跡付ける重要資料である雑誌『子供の詩・研究』を閲覧・調査する機会に恵まれた。また2006年2月12〜26日には、米ニューメキシコ大学付属図書館(ニューメキシコ州)およびパデュー大学付属図書館(インディアナ州)にて、世紀転換期に刊行された写真雑誌や、アメリカの代表的な自然雑誌であるAudubon, Nature Magazineなどの調査を通じて、北米の野生動物保護に関する言説について考察を深めた。 これらの成果を反映し、2005年5月21日には、日本比較文学会東京支部5月例会(於日本大学)にて、「写真家・星野道夫の見たアラスカ-ラスト・フロンティアのイメージを超えて」と題した写真家・星野道夫の自然観についての研究発表を行った。また2006年2月24日には、パデュー大学で開催されたAnthropology Colloquiumにguest presenterとして招かれ、"A JAPANESE LENS ON ALASKA : DISCOVERY OF THE "NATURE LOVERS" ACROSS THE PACIFIC"との題目で、「禅」としての日本の自然観という欧米的ステレオタイプを再考する研究発表を行った。
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