Research Abstract |
本研究は,以下の2点を目的として行われている。すなわち, 1,法律相談を題材に,効果的な専門的相談のためのモデルを生成すること, 2,1を踏まえて,初心弁護士を対象とする研修プログラムを実践・評価すること, である。 平成17年度においては,研究目的1に関連して,法律家の協力を得ながら,事例検討会の参与観察と弁護士への調査面接を行った。このうち,参与観察は終了し,調査面接は現在まで継続中である。現在,得られたデータに関する分析を行っており,研究成果の一部を平成18年度の学会で発表することが決定している(原田杏子,2006)。また,平成17年度に観察に入った事例検討会は,初心弁護士を対象とする研修プログラムの要素を併せもっていることから,既に研究目的2についても,研究を進めている段階であるといえる。 加えて,平成17年度には以下のような研究を行った。法律相談を題材として臨床心理学の分野にも寄与する研究を行うことを目指して,文献研究を行った(原田杏子・向江亮・慶野遥香・土屋瑛美,2006)。また,相談の専門性ということについて,最新の知見であるナラティヴ・アプローチの観点から検討することを目指して,同じく文献研究を行った(石丸径一郎・袴田優子・西村詩織・原田杏子,2006)。加えて,相談の専門性について考察する際の比較対象として日常的な相談活動に関するデータを分析し,その成果を平成17年度の学会にて発表した。以上が,雑誌論文および学会発表における研究成果である。 さらに,法律相談の専門書の編纂に加わり,事例検討会に関する章を分担執筆した(菅原郁夫編,2006)。本書は,初心の弁護士を対象とした教育研修のための書物であり,この書物への執筆は,研究成果を社会に還元する第一歩であるということができる。
|