2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物使用に対する社会的介入のあり方をめぐる社会学的研究
Project/Area Number |
05J11001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 秀幸 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 薬物使用 / 介入 |
Research Abstract |
平成17年度(特別研究員奨励費)研究計画調書においても記したように、本研究は現代における薬物使用に対する介入のあり方を経験的・実証的に分析すると共に、こうしたあり方を現出せしめるに至った共時的・通時的背景に関して考察することを通して、最終的に、一つの近代/現代社会分析としての薬物使用研究を導くこと、ここにある。研究2年度目にして最終年度である平成18年度は、17年度の研究成果(通時的な分析)に横糸として共時的な観点を織り込むべく、「介入/処遇」の現代的なありかたである、多機関・多職種によるネットワーク・連携の様子について、社会学的フィールドワークの技法を用いて研究を行った。 特に、地域における医療・看護・福祉領域の諸機関・諸個人を中心とした薬物使用者に対する援助・支援ネットワークがどのようなものとして展開されているかに注目し、彼/女たちに対するインタヴュー調査を中心に、関連する文書資料等の収集もあわせて行った。また、当該地域の薬物支援ネットワークの展開に中心的に関与する実務家(医師・保健師・看護師・ソーシャルワーカー・弁護士・保護観察官など)と、本研究のテーマに関して小規模な研究会を繰り返し開催し、その中で社会学的な問題設定の可能性が議論された(平成17年度に引き続き行われたこうした研究会は、沖縄に存在する薬物依存者リハビリ施設の協力のもと、現在も継続中である。平成18年度は、沖縄にて施設調査、職員への聞き取り調査、関係諸機関の意見交換会等が行なわれた)。 加えて、現代社会学の様々な理論・思想の中から、薬物使用に対する介入の研究にとって有意義かつ新奇な理論・方法枠組みを有するものを参考にすべく、薬物使用とは直接関係のない潮流からの議論も含め、幅広く文献を収集し、検討を行った。 こうした議論や研究の成果は、その一部がすでに学会発表等として提出されている。
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