2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本多 康生 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハンセン病 / 医療社会学 / 社会問題 / ボランティア / 地域社会学 |
Research Abstract |
本年度は、入所者を初めとして、ハンセン病療養所に関与する諸主体に対する聞き取り調査・参与観察を数箇所のフィールドにおいて実施した。その上で、入所者の日常生活の支援を行っている地元支援ボランティアに関する調査研究を論文化した。当該論攷では、入所者の社会関係の拡大を実現していくための一契機として、断絶的な関係性の中に、人の繋がりが生起するプロセスそのものに照準した。具体的には、それまで入所者とほとんど関わりのなかった地域住民が、いかようにして、当事者の支援を担う支援ボランティアへと転身していくのかを考察した。 施設援助職が療養所における入所者の日常の生を基底的に支えるのに対し、支援ボランティアは、入所者が施設から外へ踏み出す際の第一歩を担う。つまり、支援ボランティアは、入所者という<具体的他者>と出会い、転機のプロセスを経ることによって、療養所における医療・福祉・社会福祉領域にわたる施設内援助職の職域(公的援助)や地元行政の公共サービスが及びにくいか、あるいは私的な要求として公的援助・公共サービスが代替不可能な領域の支援を、意図せずして担っている。 療養所周辺地域に居住し、個々の入所者の社会関係の拡大を志向する支援ボランティアの存在と活動は、個別具体的な入所者の固有性に照準して、ハンセン病問題に接近することの枢要性を示している。入所者の社会的包含を考える上で、こうした地域住民による支援は、極めて重要な役割を果たすだろう。これらの研究成果は、調査対象者にフィードバックされ、現在の支援活動の展開にも生かされている。
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Research Products
(1 results)