2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 剛史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペロブスカイト型Mn酸化物 / 電気磁気効果 / 相転移 / 変調波数 / 磁気構造解析 / 磁場中放射光X線回折 |
Research Abstract |
今年度は微視的なことを中心に解明した。 TbMnO_3のP//c相においてc軸に磁場を印可すると、常誘電相に相転移する。これはゼーマンエネルギーを稼ぐため、Mnの磁気構造が変化したためであり、磁化は磁場に対して同じ向きに出る。更に、Tb_<1-x>Gd_xMnO_3においてc軸磁場効果を見ると、複雑な相転移を起こすことが分かった。これは、Gdの磁気モーメントがMnの磁気モーメントに対して外部磁場と逆向きに働く内部磁場として振舞うからであることがわかった。 RMnO_3(Rは希土類)の強誘電相における磁気構造解析も行った。エンドマテリアルは変調波数が非整合なので、Tb_<0.41>Dy_<0.59>MnO_3という固溶系を作製し、東海村の東大物性研附属中性子科学研究施設で中性子回折実験を行いその結果から磁気構造解析を行った。その結果、bc面内でスパイラルな磁気構造ができていることが分かった。 磁場中における変調反射測定も行った。b軸方向に磁場を印可すると、GdMnO_3では、「常誘電相」→「強誘電相(P//a)」という相転移が起こり、TbMnO_3では、「強誘電相(P//c)」→「強誘電相(P//a)」という相転移が起こることが知られている。この系における強誘電分極は変調波数が関係するため、SPring8(BL-22XU)において、磁場中における変調反射測定を行った。その結果、GdMnO_3では、ゼロ磁場では超格子がなかったが、P//a相に相転移するとq=0.5に変調反射が観測された。また、TbMnO_3では、ゼロ磁場(P//c)ではq=0.56あたりに変調反射が観測されていたが、P//a相に転移すると、同じくq=0.5に変調反射が観測された。このq=0.5という整合波数の実験結果と、P//aという巨視的な実験結果から、群論を用いて大まかな磁気構造を考えた。結果として、二つの磁気構造を提唱した。
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Research Products
(3 results)