2006 Fiscal Year Annual Research Report
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05J11072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 剛史 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペロブスカイト型Mn酸化物 / 電気磁気効果 / 放射光X線回折 / 変調波数 / 単結晶構造解析 / 偏極中性子散乱 |
Research Abstract |
本年度は3つの研究を行った。 磁気構造と格子変調の関係について考察した。本研究では様々なノンコリニアな長周期磁気構造において磁気変調波数と格子変調波数の関係を示し、互いに対照的な実例を挙げ議論した。この結果はJPSJに受理され2007年2月に出版された。 Tb_<0.3>Gd_<0.7>MnO_3のP//a相における超格子を含めた単結晶構造解析を試みた。 TbMnO_3やGdMnO_3におけるこの相の微視的構造は分かっていない。これらの組成のこの相は磁場下に存在し技術的に困難だからである。しかし(Tb, Gd)MnO_3の一部の組成(Tb_<0.3>Gd_<0.7>MnO_3もこれに含む)ではこの相が零磁場から存在することが分かっている。本研究ではSPring8 BL02B1ラインにおいて零磁場での放射光X線によるTb_<0.3>Gd_<0.7>MnO_3におけるブラッグ、超格子回折結果を得て、それをもとに超格子を含めた単結晶構造解析を行った。Inverse-GK相互作用によって酸素が変位するという結果を得た。ただし解析精度が悪いため結論とは考えていない。本研究の結果は、日本物理学会2006年秋季大会で口頭発表された。 電場によるスピンヘリシティの制御を試み、成功した。 RMnO_3のP//c相ではMnの磁気モーメントがbc面で巻く横スパイラル磁気構造が存在するが、本研究では分極が+P方向、-P方向に向いているときにa軸正方向から見てMnの磁気モーメントがそれぞれ反時計回り、時計回りに巻いていることを原研JRR-3の回折計PONTAを用いて偏極中性子散乱で証明した。電場で分極の向きを制御するので、電場によるMnの磁気モーメントのヘリシティ制御に成功したことになる。本研究の結果は日本物理学会2006年秋季大会で口頭発表され、論文はPRLに2007年3月に受理された。
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Research Products
(2 results)