2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 桂 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトニック結晶 / マルチフェロイクス / 磁気カイラル効果 / 光学的電気磁気効果 |
Research Abstract |
磁性と誘電性をあわせもつマルチフェロイクスと呼ばれる物質群における光物性に着目して、理論的な立場から以下の2つの新たな物理現象を発見した。 (1)フォトニック結晶における磁気カイラル効果の巨大増強 マルチフェロイクスにおける光物性として、光の進行方向に応じて屈折率の異なる磁気カイラル効果あるいは光学的電気磁気効果が知られている。しかし、この効果は非常に小さいために測定が困難であった。そこで、効果を増強させるためにマルチフェロイクスを光の波長程度の周期で並べてフォトニック結晶を構成することで、磁気カイラル効果に起因する反射率差を3桁以上に大きくできることを理論的に示した。この結果を用いると、光を波長ごとに分離できてしかも外部磁場により光の反射方向を変えられるため、光の分波光分波装置と光スイッチを同時に高速で制御できる光学装置が実現可能である。この結果はApplied Physics Letters誌に掲載された。さらに、貴田らの実験によって、フォトニック結晶においては磁気カイラル効果が3桁以上大きくなることが確認され、実験結果と併せて特許権を出願中である。 (2)光線に作用する「ローレンツカ」 光と電子とのアナロジーは古くから知られていたが、光子は電荷をもたないために、光線に対するローレンツカは知られていなかった。本研究では、マルチフェロイクスにおける磁化ドメインにおける磁気カイラル効果(光学的電気磁気効果)を利用することで、光の軌跡があたかもローレンツカを受けるかのように曲がることを理論的に発見した。このような光線に作用する「ローレンツカ」を利用すると、光が元来軌跡を戻れなくなるため、従来の光アイソレータを大幅に小型化できる。この結果は、Physical Review Letters誌に掲載された。
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Research Products
(3 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 特許権2005
Inventor(s)
十倉 好紀, 有馬 孝尚, 永長 直人, 貴田 徳明, 澤田 桂, 金子 良夫
Industrial Property Rights Holder
独立行政法人科学技術振興機構, 独立行政法人産業技術総合研究所
Industrial Property Number
特願2005-219891
Filing Date
2005-07-29