2005 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解光電子顕微鏡によるメゾスコピック磁性体の磁化ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
05J11095
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷内 敏之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 光電子顕微鏡 / 放射光 |
Research Abstract |
光電子顕微鏡(PEEM)は主に真空紫外・軟X線領域での顕微分光法として用いられている。本研究ではPEEMを硬X線領域で用いることにより、薄膜の界面などに埋め込まれた微細な構造の観察・分光が可能であると考えた。今回は硬X線PEEMによる埋もれた界面ナノ構造の可視化を目的として、薄膜中に埋め込んだ界面微細構造の観察を試みた。さらに異なる深さのキャップ層で埋め込まれた試料のX線吸収スペクトルから、硬X線PEEMのプローブ深さについて見積もった。 試料はSi基板上にリソグラフィーによりAuの微細構造を作製した後、Co薄膜でキャップすることでAuの微細構造を埋め込んだ。測定はSPring-8BL39XUに設置したPEEMを用いて行った。測定はAuL_3吸収端近傍のX線を用いて行った。Auの微細構造を50nmのCoキャップ層で埋め込んだ試料において、界面のAuの微細構造を明瞭に観察することが出来た。さらに、Au吸収端の上下で得られた像の差分をとることにより、Auに由来するコントラストのみを抽出することに成功した。また100nm,200nmの厚いキャップ層で埋め込んだ試料においても同様にAuの微細構造を明瞭に観察することができる。以上の結果から、硬X線領域でPEEMを用いることにより、埋め込まれた界面微細構造の元素選択的なイメージおよびX線吸収スペクトルを得られることが分かった。以上のことは硬X線PEEMを用いることで、界面のnano-XAFSが可能であることを示している。また得られたPEEM像から硬X線PEEMのプローブ深さについて見積もったところ、界面nano-XAFSのプローブ深さは約25nmであるのに対し、吸収断面積の違いによるコントラスト(化学コントラスト)は約300nmと非常に大きいことが分かった。
|