2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な超新星爆発による元素合成とそれらの宇宙初期の化学進化への寄与
Project/Area Number |
05J11114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 琢也 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超新星爆発 / 恒星進化 / 元素合成 / ブラックホール / 化学進化 |
Research Abstract |
(1)300太陽質量以上の巨大質量星の研究 巨大質量星の存在は宇宙の第一世代星の候補として重要である。本研究では、重力崩壊を起こしてブラックホールを形成する500太陽質量、及び、1000太陽質量の星について、進化・爆発・元素合成の計算を行った。爆発計算は、回転の効果を考慮して、重力を含む二次元ジェット状爆発モデルのコードを使用した。 その結果、(1)元素合成の結果得られた各元素の質量比は、M82のガス、銀河団ガス、銀河間物質の組成をうまく説明できること、(2)宇宙の再電離のためのUV光子を効率よく供給できること、(3)最終的なブラックホールの質量が中間質量ブラックホールの質量に近いことがわかった。このブラックホールは、巨大質量ブラックホールに成長する種となりうる。 (2)II型超新星爆発の多様なモデルと銀河の化学進化への寄与 重力崩壊によってII型超新星となる大質量星の進化、爆発、元素合成を行い、その結果放出された重元素の量(イールド)を銀河の化学進化の計算に提供した。進化計算では、13〜40太陽質量の星について、また、金属量が0〜0.02(太陽金属:量)のものについて計算した。次に、この結果を初期条件として、爆発計算を1次元球対称モデルで行い、20太陽質量以上の星については、通常の超新星モデルに加え、近年観測されている10^∧52erg以上の爆発エネルギーをもつ極超新星爆発モデルを採用した。さらにこの温度密度データを用いて元素合成の計算を行って各モデルに対するイールドを求めた。この結果を各金属量ごとに、極超新星と通常の超新星との発生比、及び、初期質量関数をかけて積分してII型超新星全体としてのイールドを求めた。 これを金属量ゼロから太陽金属量までの銀河の化学進化のモデルにあてはめて計算すると、太陽金属量に達した段階で、ほとんどの元素において太陽組成を再現できた。
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Research Products
(5 results)