2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波サブミリ波帯分子・原子輝線による早期型銀河での活動現象の解明
Project/Area Number |
05J11126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 武志 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電波天文学 / 早期型渦巻銀河 / 分子ガス / デジタル分光計 |
Research Abstract |
私は、野辺山ミリ波干渉計を用いて、近傍のHII領域を伴う早期型渦巻銀河12天体について世界で初めて高空間分解能^<12>CO(J=1-0)サーベイ観測を行い、分子ガスの分布と運動を明らかした。棒構造による効率的な中心領域へのガスの集積、相互作用による星形成の促進、早期型銀河の深いポテンシャルによる臨界ガス密度の上昇などが原因となり、幅広い星形成の活動性(星形成・星形成効率)を示していることがわかった。また、電波銀河NGC4261のCO吸収線探査観測をIRAMのミリ波干渉計を用いて行った。そのデータ解析のため、フランスへ渡航した。本観測結果から、この銀河のAGN近くに存在する分子トーラスのガスの物理状態(質量・密度・ガス温度)に新たに制限を与えられることができ、電波銀河のAGNの一般的な特徴の理解を深めることになる。これらの観測的研究は、出来る限り早く学術雑誌で公表する予定である。 一方、私はチリに建設されたASTE望遠鏡へ搭載するため、広帯域高分散分光システム(Wideband and High Dispersion Spectrometer system with FFX correlator, WHSF)の開発を行っている。本システムは、次世代の観測体系をいち早くASTEで実現し、ALMAでの観測的研究を牽引する目的で開発されるものである。4GHz幅という広帯域が実現されることにより、銀河の中心領域やAGN付近、ULIRGに存在する広い速度幅をもつサブミリ波分子・原子ガス輝線を観測することが可能となる。本年度は、昨年度から引き続き、ASTE望遠本分光計の開発・評価試験を行い、ASTE望遠鏡の観測システムとの結合試験を行った。また、各装置の詳細な周波数特性や安定度の測定を行い、分光システムの性能向上に努めた。さらに、野辺山45m電波望遠鏡や現在のASTE望遠鏡に実装されていない強度較正を組み込み、高精度観測に向けた準備を行った。当初の計画では、本年度にASTEへ搭載される予定ではあったが、望遠鏡運用上の都合により来年度へ延期されたため、本システムの説明書の整備、観測手法の検討を行い、来年度の搭載へ向けた準備を進めた。
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