2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波サブミリ波帯分子・原子輝線による早期型銀河での活動現象の解明
Project/Area Number |
05J11126
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 武志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 電波天文学 / 早期型銀河 / 分子ガス |
Research Abstract |
干渉計を用いたCO輝線の高分解能観測は、星形成の材料である分子ガスが、どのように分布し、かつ、それがどのような力学的状態にあるかという情報をもたらすため、中心領域の星形成を理解する上で重要なプローブとなり得る。野辺山ミリ波干渉計を用いて、近傍のHII領域を伴う早期型渦巻銀河12天体について世界で初めて高空間分解能^<12>CO(J=1-0)サーベイ観測を行い、分子ガスの分布と運動を明らかにした。早期型渦巻銀河の一部において、ガス消費時間が極めて短い銀河が存在している。このことから、特に星間物質の比較的少ない早期型渦巻銀河では、棒構造による質量輸送が星形成の重要な役割を担っていると考えられる。棒構造による効率的な中心領域へのガスの集積、相互作用による星形成の促進、早期型銀河の深いポテンシャルによる臨界ガス密度の上昇などが原因となり、幅広い星形成の活動性(星形成・星形成効率)を示している事がわかった。 また、チリに建設されたASTE望遠鏡へ搭載するため、広帯域高分散分光システムの開発を行っている。本システムは、次世代の観測体系をいち早くASTEで実現し、ALMAでの観測的研究を牽引する目的で開発されるものである。4GHz幅という広帯域が実現されることにより、銀河の中心領域やAGN付近、ULIRGに存在する広い速度幅をもつサブミリ波分子・原子ガス輝線を観測することが可能となる。時間方向の位相安定度を調べるため、長時間にわたって取得した相互相関データから分光点毎にアラン分散を観測した。τ=10^4[秒]まで白色位相雑音が支配的であり、分光点によるアラン分散の違いが見られた。また、ネットワークアナライザとF-FX型分光相関器を用いて、A/D変換器を含むサンプラボードの周波数特性の測定を行い、必要とされる仕様を満たしていることを確認した。
|