2005 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元系エンタングルメントの解析と量子情報処理への応用
Project/Area Number |
05J11129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾張 正樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エンタングルメント / 量子状態識別 / 量子クローニング / LOCC / 幾何学的エンタングルメント量 / 正準Bell状態 |
Research Abstract |
無限次元エンタングルメントの変換性を量子情報処理に応用することが、本研究の最終目的であるが、そのために初年度である本年はまず有限次元空間において、エンタングルメントの変換性が量子情報処理にどのように応用されるかに焦点をしぼった。 遠距離における2者および多者の間における量子情報処理を考える場合、量子通信の高コスト性を考えると、古典通信と局所的(量子通信不要な)量子演算(LOCC)によっていかなる量子情報処理が可能かということを知ることは非常に重要である。私は、この問題をエンタングルメントの変換性という観点から研究した。 様々な複雑高度な量子情報処理の基礎となる重要な情報処理プロセスとして、量子クローニングと量子状態識別がある。私は、これらの情報処理が遠距離他者間でLOCCのみで実行されたとき、どのような制約が加えられるかを研究した。 量子情報処理である量子クローニングをLOCCで実行する(局所的複製)ことを考え、互いに直交する素数次元2粒子最大エンタングル状態の集合が決定論的に局所的複製できる必要十分条件が、与えられた集合が同時Schmidt分解可能かつ正準Bell状態の部分集合であるということを証明した。更に、同時Schmidt分解可能な互いに直交するエンタングル状態は局所的に識別可能であることから、空間的局所性の制限の下では、粒子の複製が粒子の識別より困難であることを示した。 私は、又、決定論的な局所的量子状態識別に関して、識別対象の状態の幾何学的エンタングルメント量の平均により、状態識別性の限界が与えられることを示した。このことは、逆に幾何学的に定義されたエンタングルメント量が局所的な量子操作による識別製という、物理的な意味を持つということを示しているという意味で、エンタングルメント量の理論に対し貢献をしている。
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Research Products
(1 results)