2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次高調波発生を用いたアト秒台パルスの発生とその計測に関する研究(実験及び理論)
Project/Area Number |
05J11132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 恒人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高次高調波発生 / 分子配列 / トンネルイオン化 / 量子干渉 |
Research Abstract |
通常の気相分子はランダムに配列しているため、分子中における高次高調波発生は十分に研究・理解することが出来なかった。本研究では、申請者が在籍している酒井広文研究室が世界をリードするレーザー光による分子操作技術を駆使し向きが揃った分子試料を用い、また高調波強度とイオン強度を同時に観測するという独自の実験手法を採用にすることにより、分子中の高次高調波発生におけるdestructive interferenceという現象を観測することを世界で初めて成功した。 試料として配列した窒素分子や酸素分子を用いた場合には、高調波発生の第1ステップであるイオン化が促進した時に高調波発生も促進したが、配列した二酸化炭素分子を試料としたところ、イオン化が促進した時に高調波発生が抑制されることを初めて発見した。このことは、二酸化炭素分子の分子軌道からイオン化した電子が波として振る舞い、高調波発生に至るまでにdestructive interferenceが起こっていると考えることにより理解出来る。 本研究において観測されたdestructive interferenceは1分子中で光の1周期以内で起こっている超高速現象であり、この効果を利用することにより分子の瞬間的な構造を1フェムト秒(=10^<-15>秒)の極限的時間精度で調べるための全く新しい手法となりうる。さらに、整列させた分子を試料とし、高調波とイオンを同時に観測するという実験手法は、今後当該分野の標準的実験手法となるであろう。 本研究は分子物理学に大きなインパクトを与え、英国インペリアルカレッジのマランゴス教授より英科学誌ネイチャーのNews & Viewsに注目すべき結果として紹介(Nature (London)435,435(2005))されると共に、2件の学術賞受賞(国際学会1件、国内学会1件)、3件の招待講演(国際学会2件、国内学会1件)、その他多くの一般講演を行い、高い評価を得た。
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Research Products
(4 results)