2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原田 円 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀河団 / X線 / すざく |
Research Abstract |
本年度は「すざく」衛星を用いて銀河団プラズマの研究を行った。「すざく」は低いバックグラウンドで、特に低エネルギー側(0.2-1keV)に高い感度を誇るX線CCD検出器(XIS)と、世界最高の感度で硬X線領域(10-600keV)をカバーするHXD検出器を搭載しており、これらを組み合わせることで新しい重要な成果を得た。 一つは銀河団からの硬X線探査である。共同研究者として観測提案し、2006年5月に観測された衝突銀河団A3667の解析を行った(2007年春の天文学会T08A)。私が行ったX線の放射中心、17分角のオフセット領域、そして電波レリックが観測されている領域(離角35分)の3つの領域いずれからも、HXDのバンドで〜30keVまで、光子指数にして〜3のソフトな信号が検出された。私はXISで熱的成分を決定し、それをHXDのエネルギーバンドまで伸ばして評価したところ、3つの観測いずれにおいても、HXDの信号には熱的成分だけでは説明できない超過成分があることがわかった。現在より詳細な解析により、この超過成分の位置や起源について研究を進めている。 もう一つは銀河団プラズマ中における酸素の分布の研究である。これまでIa型の超新星爆発で作られる鉄の分布については研究が進んできたが、II型超新星で主に作られる酸素の研究は、0.65keVのOVIIIのラインに対する感度不足のために研究が進んでこなかった。そこで打ち上げ後の機器較正期間に「すざく」で観測されたケンタウルス座銀河団のデータを解析し、酸素の空間分布が鉄のように中心に向かって増加してはおらず、空間的に一様に広がっていることがわかった(2006年すざく京都会議)。このことは、銀河が過去には現在よりも銀河団中において一様に分布しており、そのころに活発だったII型に超新星爆発によって酸素が銀河団プラズマに供給されたことを示唆している。
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Research Products
(6 results)