2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子の内部自由度と外部自由度の同時制御による分子内量子過程の完全制御
Project/Area Number |
05J11161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 隆行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非断熱分子配列 / 最適制御実験 / フェムト秒パルス整形 |
Research Abstract |
分子の量子過程を最適化するためのシステムの開発を行った。まず、フェムト秒パルス整形器の高度化を図った。フィードバックシステムを応用し、偏光状態を実験者が思う通りに時間変化するパルスの発生に成功した。この技術を本研究室の気相分子の配列技術と組み合わせれば、光と分子の相互作用において、分子軸と偏光方向の相対的な関係も含めて最適化することが可能となる。 最適化実験に利用するための分子の状態の観測手法として、イオンイメージング法を採用した。本研究では、イオンイメージを直接フィードバックできるように、データ取得システムの開発を行った。容量の大きいイメージデータを効率よく処理することで、実験装置の繰返し速度である10Hzを上回るイメージの処理速度を実現した。この成果により、イオンイメージを指標とした分子の状態制御が可能となった。 イオンイメージのフィードバックを利用した最適化制御実験の第一歩として、分子の非断熱的な配列状態を制御した。遺伝的アルゴリズムを利用した最適化の結果、2つのほぼ等しいピークを持つパルスが得られた。計算機シミュレーション、および、ダブルパルス実験を行うことにより、特定の条件化では、2つのピークを持つパルスの方がフーリエ変換限界パルスよりも効率が良いことが確認できた。 さらに計算機シミュレーションを進めると、分子配列の効率は、光パルスの複雑な時間波形ではなく、パルスの継続時間によって左右されることがわかった。実際、同程度の時間幅のシングルパルスでも配列状態を高効率化できることが分かった。この結果から、光パルスの継続時間によって、各回転励起状態が獲得する位相に変化をつけられることが示唆される。一方で、継続時間を最適値よりも長くした場合には、高い回転励起状態の効率的な励起が難しくなることなども分かった。
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Research Products
(1 results)