2006 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質圧電媒質の破壊に伴う水力学的・熱的及び電磁気学的現象の研究
Project/Area Number |
05J11162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 岳人 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱 / 流体 / 熱多孔質媒質 / 非弾性空隙率 / 無次元数 / パルス型の滑り / 応力降下量 / 放射効率 |
Research Abstract |
これまでの熱多孔質媒質を取り扱う枠組みに加えて、非弾性な空隙率の変化を取り入れ、震源を記述する新たなモデルを得た。まず支配方程式中の熱源項と非弾性項から、系の振る舞いを支配する無次元数Sを導き出した。そして熱及び流体の流れと固相の膨張を無視するという仮定の下、まず一次元のモデルで温度上昇の解析解を得、そこから岩石の融解が莚こらないパラメータ領域としてS=0及びS>1を得た。なお、融解が起こらないというのはシュードタキライトがあまり見られないという観測結果に対応している。また温度上昇は滑り継続時間にも依存するが、一般的に仮定される物性量の下では、微小地震を除く大部分の地震の継続時間において時刻無限大での解析解が適用可能であることが分かった。Suzuki and Yannashita[2006]はS=0の場合を考えたことに相当するため、今回は3>1の場合を考えた。一次元(1D)モデルでは、急激な応力降下の後に滑り強化が現れ、滑り昼が時刻無限大で有限の値に収束し、その解析解も得られた。二次元(2D)モデルでは、1Dでの結果から期待されるように、亀裂端付近よりも後方で滑り速度が抑えられた。この滑りはHeaton[1990]等によって報告されたパルス型の滑りを表していると考えられる。またここでは地震のスケールに殆ど依存しない応力降下量が得られた。これはIde and Beroza[2001]の結果と合致する。更に観測される物理量から計算される放射効率が時に1を超えてしまうという問題点も解決できた。このように、観測される地震現象の多様性は多数あるが、熱・流体及び非弾性な空隙率の間の相互作用によって、それらを統一的に、ただ一つのパラメータSの違いのみによって説明することができるようになった。
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