2006 Fiscal Year Annual Research Report
球状星団の観測による50億年後の太陽の進化モデル構築
Project/Area Number |
05J11195
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 典之 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 球状星団 / 変光星 / 太陽 / 近赤外線観測 / 南アフリカ共和国 |
Research Abstract |
本研究では、太陽質量程度の星が誕生後100億年程度で迎える進化の最終段階の解明を大きな目標として、球状星団の近赤外線観測を行っている。銀河系では約150個の球状星団が見つかっているが、そのどれもが100億年程度の恒星集団でちょうど太陽と同じような星が進化の最終段階に差し掛かっている。名古屋大学や国立天文台が南アフリカ共和国に建設したIRSF望遠鏡を用いて、球状星団の近赤外線観測を行っている。本観測は、現在知られている150個の星団のうち、IRSFから観測できる143個を観測するという他に類を見ない大きなものである。太陽は進化の最終段階でII型セファイドやミラと呼ばれる脈動変光星になると考えられているが、長期の反復観測によってこれらの脈動の性質を調べることができる。今年度は、7月に3週間にわたって南アへ渡航し観測を行った他、これまでの観測データを解析した。その結果、II型セファイドやミラ型変光星に対応する周期1日以上の変光星712個の変光星カタログが完成した。これはこれまでで最も大規模かつコンプリートに近い観測に基づいた球状星団の変光星カタログであり、多くの星に対して初めて得られた近赤外線での観測結果である。特に、II型セファイドに関する結果をMonthly Notices of the Royal Astronomical Society誌上で発表した。この論文は近赤外線におけるII型セファイドの周期光度関係を初めて明らかにしたもので、II型セファイドがほとんど同じ質量をもつ星の集団であることがわかった。このことは、太陽の終末期ではII型セファイドへ変化するまでにあまり大きな質量の変化が起こらないことを示唆している。
|
Research Products
(1 results)