2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラムダハイパー核の非中間子弱崩壊モードの実験的研究
Project/Area Number |
05J11197
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
丸田 朋史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ラムダハイパー核 / 非中間子弱崩壊 / 国際研究者交流 / イタリア |
Research Abstract |
本研究はKEKで行った2つの実験(E462、E508)と、イタリアのフラスカティ研究所のFINUDA実験により、ハイパー核に特有の崩壊事象である非中間子弱崩壊モード(ΛN→nN)を高分解能で測定し、バリオン・バリオン間の弱い相互作用の解明に重要な知見を与えることを目的としている。 KEKの実験では(π^+、K^+)反応により偏極したs殻(^5_ΛHe)およびp殻(^<12>_ΛC)ハイパー核を生成し、非中間子弱崩壊により放出された粒子を、実験標的周囲に配置した検出器群により測定した。本実験の解析は完了し、測定結果を国際会議において口頭で報告を行った。実験結果はs殻とp殻ハイパー核では、反応機構に差が無いことを示唆している。また従来の中間子交換模型では本結果を説明することが困難であるため、理論家に反応機構の再考を促す結果となった。 FINUDA実験では、電子・陽電子衝突型加速器によりφ中間子を生成し、それの崩壊により放出されるK^-中間子を実験標的中に静止させることによりハイパー核を生成する。K^-のエネルギーが揃っているので、実験標的を薄くすることができる。それにより、低エネルギー荷電粒子の測定が可能であることがこの実験の大きな特徴である。2003年から2004年にかけて収集されたデータでは、^<12>_ΛCの非中間子弱崩壊により放出された陽子を20MeVの低エネルギー領域から測定し、終状態相互作用や3体崩壊(ΛNN→nNN)に関する重要な結果を得た。まもなくこの結果を雑誌に投稿する予定である。また、2回目のビームタイムに向け、昨年度日本で開発した時間測定用の検出器を、現地の実験協力者とともに検出器単体で動作の確認を行った。次に検出器群へインストールし、1Tの磁場をかけた状態で性能評価を行い、開発目標であった時間分解能を達成していることを確認した。
|
Research Products
(4 results)