2005 Fiscal Year Annual Research Report
弱い相互作用によるJ/Ψ粒子の崩壊についての解析研究
Project/Area Number |
05J11204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山村 大樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子実験 / TOF測定器 / 光電子増倍管 / J / ψ粒子 |
Research Abstract |
本研究代表者は平成16年度より、BES-III実験のための飛行時間測定器(TOF)の開発研究に携わってきた。今年度においては主に、TOF用として生産された約550本の光電子増倍管(PMT)についての性能試験を行っている。 性能試験では、高エネルギー加速器研究機構の東カウンターホールにある牛若電磁石を用いることで、BES-III検出器と同じ磁場1テスラ内でのPMTの動作・特性を評価した。光源には、青色レーザーダイオード(LD)を採用し、立ち上がりの十分速いパルス光を用いて、各PMTの電流増倍率の電圧特性や時間分解能の光量依存性を調べた。本試験での測定結果をもとに、BES-IIIで実際に使用する448本のPMTの選別を進めている。 また本研究者は、試験のために独自に立ち上げたセットアップについて、BES-IIIのTOFフィードバックシステムへの応用の可能性を現在考察中である。性能試験にて使用したLDは、安価かつ長寿命で、また、高頻度のパルス光も発生できるため、PMTのキャリブレーション用光源としての可能性が、BESグループでも検討されている。但、出力自体がやや小さいという問題があり、数100個オーダーあるTOF用の各PMTに対し十分な強度のパルス光を供給できるかどうかの議論も続いている。本性能試験でのセットアップは、12個のPMTを同時測定するものであったが、現在本研究者は、光学系の改良を加えることで、フィードバックシステムへの応用が可能かどうかの考察を進めつつある。 それから物理解析の研究については、来年度より本格的に開始する。現在は、BES-II実験における実際のデータおよびモンテカルロサンプルを用いるなどして、J/ψ崩壊事象の解析法を検討中である。
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