2005 Fiscal Year Annual Research Report
自由群の自己同型群のホモロジー、及び付随するリー代数の研究と写像類群への応用
Project/Area Number |
05J11229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自由群の自己同型群 / 群のコホモロジー / 組み合わせ群論 / Johnson準同型 / 写像類群 |
Research Abstract |
今年度は主に、自由群の自己同型群のねじれ係数2次元ホモロジー群に関する研究を中心的に行った。一般に、自由群の自己同型群は自然に自由群のアーベル化に作用する。従って、その双対加群にも作用する。私は以前から、これらの作用に関する自由群の自己同型群のねじれ係数(コ)ホモロジー群の計算に非常に興味を持って研究しており、前論文では1次元の場合を計算した。今回の結果は、この続編とも言うべきもので、2次元の場合のホモロジー群を計算し、自由群の階数が6以上のとき、1/2を含むような環を係数にテンソルした場合に、各々は0になるという結果を得た。従って、特に係数に有理数体をテンソルした場合も0である。 これらの2次元ホモロジー群の計算は、Gerstenによって得られている、自由群の自己同型群の有限表示を利用して組み合わせ群論的に行った。一般に、与えられた群の2次元ホモロジー群の計算は、仮にその群の表示が分かっていたとしても完全に決定するアルゴリズム等は知られておらず、非常に難しいことが多い。そのような中で今回用いた手法のポイントは、自由群の自己同型群の表示が誘導する群の拡大の、スペクトル系列の5項完全系列において、関係子たちのなす群の構造を組み合わせ群論的に調べるというもので、これは一般に、表示が与えられた群の整数係数2次元ホモロジー群の計算でよく知られているHopfの公式の、「ねじれ係数版」を考察していることに当たる。 一方で、整数係数の場合や、自由群の階数が5以下の場合については全くの未解決である。こららの部分に非自明な元が存在するかどうかということを決定することは重要な課題であり、現在研究中である。
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Research Products
(2 results)