2005 Fiscal Year Annual Research Report
複数の分散した計算機上に一台の仮想的な高性能計算機を構築するシステムの設計と実装
Project/Area Number |
05J11269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金田 憲二 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 仮想マシンモニタ / 単一システムイメージ / クラスタ / 分散システム |
Research Abstract |
本研究では、クラスタ上に単一システムイメージ(Single System Image: SSI)を構築し、クラスタの利便性を向上させることを目指した。SSIの実現方法としては様々な既存研究(例えばSCore)が存在するが、本研究では特に、仮想マシンモニタ(Virtual Machine Monitor: VMM)を利用するというアプローチをとった。これは、既存研究と比較して本研究に独自の点である。 我々は、より具体的には、「ネットワークで結合された複数のマシン上に、共有メモリ型マルチプロセッサマシンを仮想的に構築するVMM」を設計・実装した。このVMMは、例えばN台のシングルプロセッサマシン上に、Nプロセッサからなる仮想マルチプロセッサマシンを構築することができる。クラスタを利用する際には、この仮想マシン上にLinuxといったマルチプロセッサ対応のOSをインストールし、さらに、そのOS上で並列アプリケーションを記述・実行する。 我々は、8台の物理マシン上に仮想的に8-wayのマルチプロセッサマシンを構築した。その上でフィボナッチ数を計算するプロセスを8個並列に走らせたところ、仮想・物理シングルプロセッサマシン上で実行させた場合と比較して、最大約6.6倍の性能向上となった。この実験の結果から、VMMの頻繁な介入を必要としない(例えばI/Oデバイスに頻繁にアクセスしない)プログラムの場合、良い性能を達成できることが分かった。こうした性質を持つアプリケーションには、Parameter sweepや並列makeなど多くの有用な並列プログラムが含まれるため、我々のシステムが現実的に役立つものと考える。 また、本システムをwebサーバ上に公開した。その結果、本システムが雑誌やwebニュース等(日経バイト11月号270号、IT Pro 2005年10月31日)において紹介された。
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Research Products
(2 results)