2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内還元環境に応答する高分子ミセル型遺伝子キャリアの構築と機能評価
Project/Area Number |
05J11303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子治療 / 遺伝子デリバリー / 非ウィルス性キャリア / 高分子ミセル / 環境応答性 / DNA |
Research Abstract |
本研究は、生体内投与による遺伝子導入の成功に向け、新たな遺伝子キャリアシステムの開発を目標とした。まず、キャリアのベースとして高分子ミセルを用いた。これは、DNAを内包するカチオン性高分子(ポリリシン,PLys)コアの周囲を、生体適合性の高いポリエチレングリコール鎖(PEG)が覆うため、生体内での異物認識機を回避することが可能となる。このミセルの内核にジスルフィド結合の架橋を導入した。ジスルフィド結合は還元環境である細胞内においては開裂するため、血液中では架橋によりミセル型キャリアは安定化されるが、標的細胞内に取り込まれると速やかに架橋は開裂し、治療用遺伝子は放出されることが期待される。実際に、静脈を介して、架橋ミセル型キャリアをマウスに投与したところ、DNAのみや架橋なしのミセル型キャリアからは遺伝子発現が見られなかったが、高密度で架橋を導入したキャリアからは遺伝子発現が確認された^<1)>。そして、さらに高い遺伝子導入を得るために、DNAを内包するカチオン性高分子構造の最適化を図った。すなわち、エステル-アミド交換反応を介して種々のカチオン構造をスクリーニングしたところ、ジエチレントリアミン(DET)構造を有する構造は、培養細胞に対し低毒性かつ高遺伝子発現能を示すことが発見された^<2)>。このDET構造は、DNAとのアフィニティが高くないため、局所投与による生体への遺伝子導入においては効果的な遺伝子発現が得られたが、静脈投与においては効果が見られなかった。そこで、DETのアフィニティを改善するために、DNAと高いアフィニティを示すLysとハイブリッドしたポリカチオンの合成を試みた。一つは、PEG-b-PDET-b-PLysのトリブロックコポリマー構造である^<3)>。もう一方は、PEG-b-P(DETr-Lys)のランダムポリカチオン構造である。これらのポリマーからなるミセル型キヤリアを調製し、その機能を評価したところ、ともに高い安定性と培養細胞への遺伝子導入能を有することが確認された。今後は、これらの系のin vivo遺伝子導入をも含めた詳細な検討を行う予定である。 1)K.Miyata, et al.,J.contr.Release,2005,109,15-23. 2)N.Kanayama, et al.,ChemMedChem, in press. 3)S.Fukushima, et al.,J.Amer.Chem.Soc.,2005,127,2810-2811.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Light-induced gene transfer from packaged DNA enveloped in a dendrimeric photosensitizer2005
Author(s)
N.Nishiyama, A.Iriyama, W.Jang, K.Miyata, K.Itaka, Y.Inoue, H.Takahashi, Y.Yanagi, Y.Tamaki, H.Koyama, K.Kataoka
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Journal Title
Nature Material 4(12)
Pages: 934-941
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