2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 崇匡 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高分子ゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / 刺激応答性高分子 / 自励振動 / ベローソフ・ジャボチンスキー反応 / 振動反応 / 非線形科学 / インテリジェント材料 |
Research Abstract |
我々はこれまでに外的刺激のない閉鎖系において自励的に膨潤収縮振動する高分子系を実現しており、ナノ・マイクロデバイスとしての応用への研究を行っている。この振動の駆動力は化学振動反応として知られているBZ反応であり、その触媒であるルテニウムビピリジン錯体(Ru(bpy)_3^<2+>)を温度応答性高分子であるN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)に導入することにより、化学的な振動エネルギーを力学的な振動エネルギーに変換している。本研究では、自励振動するナノゲル微粒子を基板上に2次元的にアレイ化することによって、表面物性が時間変化する振動型表面や、表面に添加した物質を輸送するコンベア型ナノゲルアレイを作成することを目的としている。このような機能性表面の設計においては、ゲル微粒子を基板上にアレイする方法と、ポリマー鎖を基板上にグラフトする方法が考えられる。これまでに、ゲル微粒子と未架橋ポリマーの振動挙動や相転移挙動を比較しながらナノコンベアへの適応性を考察し、ゲル微粒子の優位性を示した。また、2段階鋳型重合法を用いて10μmの単分散ゲル微粒子を最密充填に2次元アレイした新規な機能性表面を作成した。現在は、表面上における振動波の実現、個々の微粒子の振動特性や微粒子同士の同期現象、微粒子の配列パターンによる振動波形の制御などを行い、機能性表面の実現をめざしている。また生理条件下における応用への試みも行っている。一般的にBZ反応を起こすためには、酸、酸化剤、還元剤、金属触媒が必要であり、生理条件下における振動の実現は不可能である。本研究では現在ポリマーに組み込んでいる金属触媒の他に、酸化剤供給部位、pHコントロール部位を組み込むことによって、マロン酸やクエン酸などの基質のみの存在下における振動の実現を目指している。前述のコンベア型機能性表面とあわせて、生理条件下における細胞のマニピュレーションなどへの応用も期待される。
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Research Products
(2 results)