2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内抗体を用いた新規抗ガン剤スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
05J11327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 敦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員
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Keywords | 細胞内抗体 / ケモタキシス / 転移 |
Research Abstract |
シングルドメインからなる抗原認識分子VHHのライブラリーから癌細胞の運動を阻害できる分子をスクリーニングすることを目的とする。VHHは抗体分子の抗原認識可能な最小ユニットにより10^6程度の多様性を持つライブラリーから癌細胞のケモタキシスを阻害できるVHHを同定した。このVHHを細胞内で発現させると細胞の形態にも変化が見られた。今回の実験で用いた細胞株であるHT1080は非常に運動性が高く、細長い形態をとるが、VHHを発現させると全体的に丸い形態をとるものが増えた。 細胞内での局在をGFP融合タンパク質をもちいて検証したところ、このVHHは細胞内に全体的に局在することが分かった。次にこのVHHがどのような細胞内分子と相互作用しているのかを調べるためにYeast two-Hybrtd法によるスクリーニングを行ったところ、多くの候補タンパク質をえることができたが候補が多く絞りきれなかった。そこで他のプロテオミクス的アプローチとしてプルダウン、質量分析による解析を行ったところ、hnRNP-KというRNA結合型のタンパク質が候補として得られた。hnRNPKはマルチファンクショナルなタンパク質であり、様々なバイオロジカルな活動に関わっていることが報告されている。 今後は過去の文献を元にhnRNPKが癌細胞の転移の活性にどのようなメカニズムで関与するのか、またVHHがどのようにその機能を阻害しうるのか、詳細な解析を行いたい。
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